2023年の現在、介護職で月30万以上稼ぐことは一定の条件にあえば難しい数字ではなくなりました。2022年、令和2年度介護従事者処遇改善状況等調査結果では正社員の平均月収は32万5千円となっています。勤続年数10年以上の介護福祉士では36万6千円です。ちなみに平均給与額の計算は基本給+手当+賞与の1/6の金額です。賞与が加算されていますので、実際の毎月の支給額が32万というわけではありませんが、生活するには十分な金額です。ですが、実際はこの金額はもらっていない、そういった人が多いのではないでしょうか?この調査は平均給与額が上がる仕組みになっており、この調査の平均金額まで達していない人も多いのが実情です。
では介護職で月30万以上稼ぐ条件とは何なのか、本記事で解説していきます。
2022年の調査からわかる介護職の給料の現状
令和2年度介護従事者処遇改善状況等調査結果では、平均年収は390万円、勤続10年以上の場合は440万円となっています。
日本の年収の中央値は390万円ほどでしたので、ほぼ同じということになります。
ですが一方、介護福祉士の年収は低いという声やそんなにもらっていない!という声もSNSでは多く聞かれています。
調査結果通りであれば、介護職員は十分賃金がアップしているということになりますが、実際はどうなのでしょうか?
様々な視点から解説していきます。
介護職はそんなに高給だったのか?
令和2年度介護従事者処遇改善状況等調査結果にこのようなデータがあります。
特定処遇改善加算について
① 月額平均8万円以上の賃金改善を実施 10.3%
② 改善後の賃金が年額440万円以上となる賃金改善を実施 38.6%
③ 既に賃金が年額440万円以上となっている者がいる 41.5%
④ ①②になる者を設定できない 33.5%
この調査では全国にある特養の数は2019年時点で8234施設の中の1599施設に調査を依頼、1117施設から解答を得ています。
様々なサービス形態に調査しましたが、有効回答率は50~60%です。
解答した施設はある程度きちんと調査に協力できる施設であり、経営もきちんとしていると思われます。
そもそも特定処遇改善手当が支給される前に年収440万円以上の介護職員がいる、その時点でかなり待遇の良い施設が多いということです。
また給与などの引き上げの実施方法も定期昇給が51%、経営体力のある法人が多いことがわかります。
調査対象自体、優良な事業所が多いのです。
調査対象のうち、年収440万にいかず、月額平均8万円以上の賃金改善を実施した施設は10.3%
特定処遇改善手当の支給条件に月額8万円以上の賃金改善をするか、改善後の賃金が年額440万円以上となるように実施しなくてはいけない、という文面があります。
この数字を見て私も驚いたのですが、10%の施設が月額8万円以上増やした介護職員がいる、ということですよね・・・。
他の職員との格差や何人にそうしたのか、そもそも8万円増やしても年収440万円にいかなかったのか、など疑問は出てきますが、まず聞かない結果も結構な割合になっています。
8万円増やしても年収440万円にいかない、ということはそれまでの年収が最高でも344万円以下ということになります。
平均よりかなり低く、平均年収を押し下げている施設も一定数あることがわかります。
調査結果は良かったが、事業所の格差は大きい
こちらの記事でも紹介していますが、地域加算による格差で介護報酬の20%ほど支給額に差がでます。
介護保険の人件費率は65%以上が多く、ほぼ人件費です。
その元の額に差がありますので、20%以上地方と首都圏では年収に差が出てきます。
沖縄などでは年収400万円代の介護福祉士になることは非常に難しいでしょう。
職歴20年の介護職員が検証!介護職の給料が上がる?給料アップの本質とその方法 - 介護職員の疑問を解決するブログ (hateblo.jp)
そのため、実際は月収32万円以上に達しない介護職員も多いのが実情です。
介護職で月30万以上稼ぐ方法
令和2年度介護従事者処遇改善状況等調査結果の対象事業所の数は日本全国の事業所の数の10%以下ですが、10箇所に一箇所は調査結果の平均月収に至る事業所がある、ということです。
介護職で月30万円以上稼ぐには、多くの事業所から優良な事業所を探さななければいけません。
介護職員の条件としては介護福祉士資格は必須であり、10年以上介護経験がある場合、より達成しやすくなります。
優良な事業所の条件
条件以外にも医療法人が母体であるなど優良な事業所はありますが、以下の条件の事業所を推奨します。
・定期昇給がある
・経営が安定している
・介護職員の数が多く、平均勤続年数が長い
・施設規模が100床以上である
・複数の施設を運営している
・地域区分が5級地
・処遇改善金の支給割合が平均である
探すことが大変な場合は、転職エージェントに丸投げしてしまう方法がおすすめです。
ここは転職エージェントとしての知名度も高いですし、条件の良い職場を教えて、で担当が教えてくれます。
さらに給料を上げる方法
労働時間や夜勤回数を増やす
これは私もやっている方法ですが、シンプルに労働時間そのものを増やし、収入をアップさせる方法です。
例えばホワイトな介護施設であれば月の休みは10日位の設定になっていますので、1日休日出勤します。
それでも月の休日は9日ありますので、一般並の休みの数です。
実際に行うことで月収の5%以上アップ、年間で12万円以上はアップします。
ただ、これは休みが多いホワイト事業所であることが必須です。
そうでなければ体への負担が重くなりますので、体力に自信がない場合はやめておいた方が良いでしょう。
副業も推奨されていますが、副業で稼ぐようになるまでは時間と技術が必要であり、そもそも自分が積み重ねてきた介護分野でより時間を使って稼いだ方が効率がいいです。
ケアマネへのキャリアアップも以前給料を上げる方法としてありましたが、処遇改善されず、研修も高額、定期的に更新も必要と個人的には福祉の精神に搾取されているような気すらします。
年収は上がらない場合の方が多いですので、介護福祉士としてキャリアを重ねていった方が現状は年収が上がりやすいです。
月収32万円の介護福祉士の給料詳細と内訳
介護職の月収の内訳はこのような構成です。
・基本給(高卒16万大卒21万 +勤続による昇給)
・夜勤手当(4~5回 一回5,000~7,000円)
・処遇改善金(1~80,000円/月)
・特定処遇改善金(10,000~20,000円/月)
・ベースアップ加算(0~9,000円)
・資格手当(3,000~10,000円/月)
・その他各種手当(事業所による)
だいたい、こんなイメージですね。
月収32万円の場合、基本給は23万程度、夜勤は5回で2.5万、特定が2万/月、処遇改善が2万/月、ベースアップ9千に各種手当、といったイメージです。
基本給がある程度の額であり、昇給があることが必須条件です。
2023年以降の介護職は給料がさらに上がる?
岸田総理の話では介護職員の待遇改善は進めていく、とされていますので今後も介護職員の待遇改善は期待できます。
ただし最近の物価高以上の賃上げは難しい可能性も高く、賃上げはされるが手取りはそう多くは増えない状況が予想されます。
2023年6月時点で岸田総理は少子化改善に向けて大きく舵を切りました。
社会保障費用に関して削減の可能性もあり、現状維持、もしくは小規模の給料アップになると思われます。
介護福祉士の年収600万時代はくる?
介護職として20年以上勤務していますが、10年以上前首都圏では年収500万円以上の介護職が出るかも、という話は出ていました。
それから10年経過しましたが、介護報酬自体が上がっていません。
初期の処遇改善加算では3%ものアップがありましたので、大幅な手当増が可能でしたが介護報酬自体が上がらない現在では難しいでしょう。
近年の物価高、エネルギー価格の上昇から人件費以外のコスト割合も多くなってきており、大幅上昇は困難です。
介護求人で年収600万円以上はここでもありましたが、管理職以外は難しですね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は介護職で月30万以上稼ぐ方法を紹介させて頂きました。
介護職の仕事内容自体は、日本全国どこの事業所でも同じような内容です。
報酬が違う理由は一つ、勤務している事業所の待遇が良くない、それだけです。
介護福祉士資格を取得している、経験年数がある程度以上ある、そういった条件は必要ですが、働く場所を良い職場に変えるだけで年収は大きく変わります。
介護職の需要は少なくともあと10年以上は高い位置で留まると思われます。
以降も高齢者が大幅に減らない限り、需要はなくならないでしょう。
働き方を工夫すれば年収や休みは増やしていけますので、現在より良い職場を探したい場合は周辺の現状をチェックしてみましょう。
今後のワークライフバランスをより良いものにしていくには、行動あるのみです。
最近転職してきた職員さんいわく
「我慢せずさっさと転職してここにくれば良かった」
とのことです。