2024年も4月になり、介護職にも新卒が入ってくるようになりました。
そこで気になる点といえば、収入はきちんと上がるのか?という点。
平社員のままでは、年収はあまり上がりません。
高額が期待できるのは、首都圏くらいでしょう。
では実際はどんな感じになるのか、経験20年以上の介護職員がイメージを固めてみました。
ただ、待遇が悪い施設もありますので注意しましょう。
介護保険が始まって20年以上、ブラックな介護施設は人手不足などで駆逐もされていますが、まだまだ残っています。
介護職は中堅 いわゆる中小企業ルートである
よく全国での平均で、高い平均年収が表示されることがあります。
あれは大企業の平均が大きく平均値を上げています。
大企業に入れるのは、全体の労働者の3割程度。
7割くらいの労働者は、中小クラスになりますので、平均年収は大幅に低くなります。
大企業の収入と比較してはいけない
大企業には、高い昇給と社会保障、高倍率の賞与など、会社員にとってメリットが大きく、公務員も賞与の倍率が大きく、人気です。
大企業の人数割合は全体の約30%。
国内の企業で働く従業員の総数は4,013万人ですが、そのうち約1,229万人が大企業に勤めています。
一方、中小企業で働く人は約2,784万人で、全体の約70%を占めています。
介護職は社会的なインフラとなる職種ではありますが、収入源が介護保険のみと限定されているのが弱点。
そのため、売上なども最高額が決まっていますので、高額な収入は得にくい職業ではあります。
また、昨今明らかになりましたが、急激な物価高も介護施設には弱点です。
介護保険の改定は3年ごとですので、物価高についていけません。
年収も中小企業版の比較が無難
ちなみに中小企業の平均年収は350万円くらいです。
低い人も多いですし、最高額が低めになりますので、平均もそう高くはありません。
そう考えると、介護職は中小企業の中では高位を狙える職種といっていいかもしれません。
ただし、給与が上がらない職場もありますし、赤字の会社も多いです。
実際に近年、物価高により赤字の施設は増え続けています。
静岡県の平均年収について考察
令和4年賃金構造基本統計調査によると
- 静岡県の平均年収は約396万円
- 平均月給にすると33万円
2024年(令和6年) 求人ボックスデータから
- 静岡市の平均年収は374万円
- 月給では31万円
- 初任給は20万円くらいが相場である
介護職の年収について
- 全国の介護職の平均は男女で平均360万円
- 男性は平均392万円・女性は343万円と格差あり
- 静岡県の介護職の平均は男女で369万円
- 男性は405万円・女性は352万円
平均として男性の方が高いのですが、原因として男女の特徴があります。
男性
- 新卒では大卒が多い
- 中途採用枠では、役職前提で入る人が多い
- 施設長などは男性が多い傾向がある
女性
- 高卒で入職する人も多い(高校から介護福祉士入手ルートあり)
- 妊娠出産で退職、勤務年数がストップし、昇給が少ない
- パート勤務の場合、大半は女性である
その3点から、男性の方が高い傾向にあります。
いまだ男性は柱として稼ぎ、女性はサポートで稼ぐスタイルは変わっていないようです。
静岡県でも年収格差はある
平均年収が400万円代の静岡県ですが、企業別の上位を見てみましょう
- 静岡市一般行政職員 660万円
ちなみに静岡市の一般行政職員の平均給与額は43万円程(各種手当含む・給与のみでは33万円程)です。
静岡市の介護職の初任給は20万円くらいが多い
介護職のメリットとして、処遇改善加算・特定処遇改善・介護職員などベースアップ支援加算・処遇改善支援補助金などがあります。
初年度から支給されますので、他職種と比較すると月額プラス数万円が期待出来ます。
そのため、色々引かれても初任給は20万円くらいが保持出来ます。
他職種では色々引かれますので、17万円などになるのではないでしょうか?
そう考えると、介護職は最初から安定しています。
準公務員待遇の扱い相当
介護保険前の措置制度の頃は、介護職員の給与ベースは準公務員待遇でした。
介護保険になり、民間主体になってから給与は大幅に変わりましたが、かなり近づきつつあります。
ただ賞与に関しては公務員が大幅に高く、年収ベースとして考えた場合、公務員よりかなり低くなってしまいました。
注意すべきは基本給の額
元々、公務員の給与を参考に介護職の給与は決まっています。
ただ学歴によって基本給が違う会社と、共通の会社があります。
大卒なら学歴を考慮した会社にした方がいいかもしれません。
介護職の年収ルートについて
大まかな年収ルートです。
- 一般職として働く 300~400
- 指導職として働く 400~450
- ケアマネとして働く 400-450
- 管理職として働く 450-500
一般職の場合
3年から5年は平社員として勤務します。
その間に介護技術や、対人コミュニケーション能力を鍛える必要があります。
また、書類仕事もありますので、誰かに説明できるレベルまでは落とし込んでおきましょう。
指導職の場合
5年目あたりから副主任、主任、ユニットリーダーへ、などの打診がくるようになります。
ただ、ベテラン勢が多い場合は昇格が遅くなる場合もありますので、注意です。
- 書類について他人に説明できる
- 介護技術の知識がある
- 人に正確に教えることができる
- 体調管理ができている
私はこのあたり、あちこちヘルプに行って稼ぐスタイルで、勤務時間を増やし年収500万円くらいです。
良い会社を目指しての転職もいいのですが、勤務年数も給与を上げていくためには必要です。
せめて1,2回くらいにしておいた方がいいでしょう。
ケアマネとして働く
- 5年以上の勤務経験が必要
- 合格率が低いケアマネ試験に合格しないといけない
- 研修で定期的に出費がある
- 兼務になる可能性がある
なくてはならない職業です。
安定して勤務出来ますし、需要も高いですが、介護職員と違い、処遇改善加算の恩恵を受けにくいなど、収入面での差はあります。
管理職として働く
- 会社からの連絡を常に受ける
- 休み中のトラブル対応がある
- 手当が増え、収入が安定する
- 研修対応などが多い
大幅に収入が増えるわけではないので、指導職にとどまりたい、そう思う人も多いですね。
年収は低くないのに、何故介護職は人気がない?
- コロナ感染で、感染リスクの高さが浮き彫りに
- 感染騒動で、大変さがクローズアップされた
- 認知症のある利用者対応の大変さ
- 夜勤もある
- 心身の負担が強い
人のケアをする仕事ですので、感染リスクが高いこと明らかになりました。
ただ、現状コロナはかなり減りましたし、予防接種もやる人は激減しました。
また、働く場が多いということは、ブラックも多いということです。
会社の選択によっては、人手不足による過重労働で潰れてしまう人もいます。
実際に年収がずっと上がらない、という声もありますし、生活が出来ない、という声もありました。
ただ介護職の場合、きちんと年収が上がってくるのは8年目以降が多いです。
特定処遇改善が倍になるタイミングですね。
そこまで働くと、かなり年収は安定したベースになっていきます。
また、紹介やHPを見るだけで会社は選んではいけません。
まれに専門の職員がいて、HPだけ頑張ってる場合もあります。
会社選びに見学は必須、その際会社の活気なども見ておきましょう。
清潔か不潔か、臭いなどもチェックポイントです。
良い会社を選んで、自分にとっていい仕事ができるよう、していきましょう。
追記
山間部の施設は、震災などで孤立してしまうケースがあります。
その点は注意しましょう。
会社は第2の家と同じくらい、過ごす時間が長い場所になります。
実際に地震で道路が寸断されてしまい、帰宅できなくなってしまったケースもありました。
色々な観点から見ると、職場のリスクは見えてきます。
自分が納得できる職場を選んでいきましょう。